忙しい年度末が終わり、新たな年度がスタートする4月。楽しい気持ちと同時に予期しなくてもやってくるのがストレスです。関わる人や環境が大きく変わることで、カラダや心がついていけず、ストレスを抱え込んでしまう人が多いようです。ストレスを解消したくても、日々の忙しさに巻き込まれてしまい、そうしているうちに小さなストレスが蓄積。気づくと心のストレスがカラダの不調となってあらわれる…、いわば「五月病」と言われる症状は、こうしたことが引き金となることが多いようです。
私自身も同様の経験があります。上司が急に変わったことで、周囲の環境、仕事のやり方、収入さえも大きく変わり、ストレスが自己処理できないレベルにまで達しました。過呼吸になるなど、カラダにも症状が出てしまったため、辞職を余儀なくされたのです。あとになって、ストレスの原因がわかり、「あの時、これがわかっていたら…」と思うことが何度かありました。ここでちょっと注目していただきたいのが「何故、ストレスの原因がわかったか?」ということです。答えは簡単。その当時、「嫌だな」と感じていたことを紙に書き出したからです。私の場合、キャリアアップをテーマにしたエッセイのために当時のことを書き出したのですが、これは一般の方にも有効な「ストレスの原因を知る方法」だと思いました。今回はストレスと書くことの関係性についてお話しましょう。
ストレスを解消する鍵はストレスの原因を知り、対処すること。
一見、ストレスの原因を知ることは書かなくても簡単にわかるように思いますが、実はそうでもないのです。特に新しい環境で「なんとなく会社に行きたくない」という場合、自分でも原因がわかりにくいことが多いのです。そこで有効となるのが「書き出す」という作業。「書き出す」ことは自分をプロファイリングすることにもつながり、それによって自分の弱点もわかります。自分と向き合い、ストレスの原因を探り出し、「見える化」することで、解消の方法が初めてわかるのです。順序を追って、その方法をお伝えします。
自分の心の奥にあるストレスを表面化することは意外と簡単ではありません。ましてや人に話すとなると、自分を正当化してかっこよく見せようとしてしまいます。ですので、ストレスを書き出す場合は誰かに相談することなく、ひとりで行うことが大切です。かっこつけることなく、自分の気持ちを正直に。そうすることで心の扉が開き、奥底に隠れていた感情が溢れ出すのです。
ストレスを書き出す場合、専用のノートを作ってそれに書くようにしてください。ちらしの裏や小さなメモ帳だと、いつの間にかなくなってしまい、それと同時にストレスを対処することも忘れてしまいます。お気に入りのノートだと、書くのも楽しくなりますよ。
ノートが用意できたら、あとは書き出すだけです。ゆっくりと、心を整理する気持ちで、静かな場所で書いてください。自分が一番落ち着ける環境に身を置き、お茶やコーヒーなど、好みの飲み物を飲みながらゆったりした気持ちです。
書き出して、自分のストレスを「見える化」すると、解決方法が自ずとわかってきます。一つのストレスが解決したら、それにチェックをして、消していく。一つずつですが、確実にストレスの原因がわかり、解決していくことで達成感が生まれます。その達成感を得られた時こそ、真のリラックスを得ることができるのです。
いかがでしたか?
これなら今すぐにでも始められますよね。自分という人間を客観的に見つめ、関わっている事柄を目に見えるようにすることで、焦りやイライラも解決します。「なんとなく嫌」、「なんとなくストレスを感じる」と思う時こそ、この方法を試してみてください。またこの方法はストレスを知る以外にも、自分の夢を書き出し、ステップアップしたい時にも有効です。デジタル優勢の昨今、「書く」という行為はアナログのようですが、心を整理するには最も効果的なのです。
エッセイスト、酒ジャーナリスト。全国の酒蔵を巡り、各メディアでコメント、コラムを寄せる。2015年一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外でサケ・エキスパートの育成を行う。
NHK Eテレ、NHK総合他、テレビ、ラジオ出演も多数。近著『酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社)がベストセラーとなる。
・HP… http://www.haishi-kaori.com/
・ブログ… http://ameblo.jp/haishi-kaori/
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