断捨離という言葉が、定着して数年あまり。今やテレビ番組でも断捨離をベースにした収納術や、片付けが特集されるほどにまでなりました。断捨離とは、不要なものを断ち、捨て、執着から離れることを目指す整理法のこと。この言葉が広まったことで、整理整頓に目覚めた方も少なくないのではないでしょうか?
私自身はもともと「捨て魔」と言われるほど、物への執着がなく、捨てるよりも、とっておくほうが苦手なタイプ。しかし周囲に聞いてみると、私のようなタイプは男性でも少ないようで、「物を捨てられないで困っている」方が意外と多いことに驚かされました。昨今は「捨てられない症候群」から、「汚部屋(おべや)」と呼ばれるゴミ屋敷にしてしまう人もいるそう。日本は元来、「もったいない」精神が根強いため、親からのすりこみもあって、「捨てられない症候群」に陥ってしまう方も多いようです。
実はこの断捨離、単なる整理術ではなく、そこには身軽で快適な人生を手に入れようという考え方、生き方も含まれている、実に深い言葉だということをご存知でしょうか? 実際にやってみるとわかるのですが、断捨離すると気分はもちろん、運気さえも変わってきます。また「書類がみつからない」、「着たいと思っていた洋服が見当たらない」など、日々のちょっとしたストレスからも解放され、気分がおおらかになります。といっても時間をたっぷり割いて、完璧な断捨離をするとなると、それがかえってストレスに。そこでおすすめしたいのが空いた時間にできる「プチ断捨離」です。日々5~15分程度、集中してこまめに断捨離を行うことで、気付けばスッキリ片付いているというわけです。ではここで、断捨離する際のポイントを5つほど挙げましょう。
第一に行いたいのが「いるもの」、「いらないもの」、「迷い中」の分別。段ボールや紙袋を3つ用意し、どんどん入れていきます。「いらないもの」は破棄、「迷い中」は期間を決め、再考した上で分別しましょう。
ブランドの紙袋や、シャレた洋菓子の箱、花束などについていたリボン。男性でこれらをとっておく人は少なそうですが、念のため、こうしたものは最終的にゴミになるだけ。「いつか使う」と思ってとっておいたものが、再び登場することは、まずありません。迷わず手放すことをおすすめします。
流行にはサイクルがあり、「懐かしい」と思うファッションが突然流行ったりしますよね。だからといって昔、流行った洋服を今着ても、カッコイイどころか、ただの時代遅れになるだけ。スーツなどは特に顕著です。「いつか流行るかも」「痩せたら着られるかも」と着古した洋服をキープせず、整理するほうがオシャレ度もアップしますよ。
思い出の写真や、賞状や免状。とっておきたいのは山々ですが、もらってもう一度見たことはありますか? こうしたものはデータ化して、ネット上のアルバムサービスに保存するほうが場所も取らず、ベストです。私は先日、ネガフィルムをすべて処分しました。学生時代の写真を焼き増しするなんて、まずしません。使わないものは捨てるに限ります。
不要なものを捨てても、うまく収納しなければ元の木阿弥。書類は書類、文具は文具といったように、カテゴリー別に分けて収納すると使い勝手、導線も良く、ちらかることが少なくなります。
私も先日、一番の難所であるクローゼットを思い切って断捨離しました。ゴミ袋が実に5袋分。衝動買いして一度も着ていない服や、母に無理やりもたされた服など、何年も着ていないものを一気に処分しました。きっかけとなったのは、断捨離の生みの親である「やましたひでこ」さんのお言葉。
「洋服は旬のエネルギーをまとうもの。旬を愉しむ食べ物と同様に考えれば、答えが出ます。何年も前の服は、もはや腐りかけた生鮮食料品」
洋服を食料品に例えれば、高かった洋服でも、「もったいない」という気持ちから解放されます。断捨離し、結果として、どこに何があるかが一目でわかるようになり、出かける前に「あの服どこだっけ?」と探す時間もなくなり、時間に余裕が生まれました。この余裕こそが、リラックスにつながるのだと、改めて断捨離の素晴らしさを感じました。
片付いた部屋ですごす時間は、今まで以上に快適。会社の次に長く身を置く場所だからこそ、断捨離で快適空間を作り、心身ともにリラックスできるようにしたいですよね。
エッセイスト、酒ジャーナリスト。全国の酒蔵を巡り、各メディアでコメント、コラムを寄せる。2015年一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外でサケ・エキスパートの育成を行う。
NHK Eテレ、NHK総合他、テレビ、ラジオ出演も多数。近著『酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社)がベストセラーとなる。
・HP… http://www.haishi-kaori.com/
・ブログ… http://ameblo.jp/haishi-kaori/
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